千言万辞「あ」其の一|愛想・欠伸・ありがた迷惑ほか20語

【愛想(あいそ)】

人に感じよく接する態度。無料なのに出し惜しみされる。

「商品より笑顔を買って帰った。」


【相槌(あいづち)】

話に調子を合わせる返答。理解している証拠にはならない。

「会議では頷く速度だけ一人前だ。」


【逢引き(あいびき)】

人目を忍んで恋人と会うこと。秘密ほど予定表が埋まる。

「残業という名の待ち合わせだった。」


【曖昧(あいまい)】

物事がはっきりしないこと。責任の所在に最適な霧。

「「前向きに検討」が結論だった。」


【青写真(あおじゃしん)】

未来の計画。実行する人の苦労だけ白紙になりがち。

「企画書には休日まで描かれていた。」


【赤字(あかじ)】

支出が収入を超えること。努力では消せない色。

「繁盛しているのはレジの音だけ。」


【飽きやすい(あきやすい)】

興味が長続きしない性質。道具を買う時が最高潮。

「三日目には次の趣味を探していた。」


【諦め(あきらめ)】

望みを断つこと。賢明な撤退にも早すぎる逃走にもなる。

「準備だけして出場を見送った。」


【悪手(あくしゅ)】

状況を悪くする選択。本人には妙案に見える。

「失言の弁明で失言を上書きした。」


【欠伸(あくび)】

眠気などで口が開く現象。退屈への無言の投票。

「熱弁の最前列から一票入った。」


【憧れ(あこがれ)】

理想の人や生活に心を引かれること。請求書は映らない。

「自由業の自由な納期だけ見ていた。」


【朝顔(あさがお)】

朝に花を開くつる植物。早起きの成果を黙って見せる。

「寝坊した日に限って満開だった。」


【朝飯前(あさめしまえ)】

ごく簡単にできること。引き受ける際の常套句。

「昼になっても完成の気配はない。」


【足跡(あしあと)】

歩いた跡や残した業績。ネットでは黒歴史も残る。

「消した投稿が検索で再会を求めた。」


【汗(あせ)】

体温調節で皮膚から出る液体。努力の演出にも使われる。

「成果より額の光を評価された。」


【後回し(あとまわし)】

物事を後の順番にすること。未来の自分への無断発注。

「面倒に利息が付いて戻ってきた。」


【穴場(あなば)】

あまり知られていない良い場所。紹介された瞬間に混む。

「秘密の店が百万回再生された。」


【油(あぶら)】

水に溶けにくい脂質など。揉め事には注がれやすい。

「仲裁人の一言で炎が高くなった。」


【甘え(あまえ)】

相手の好意に頼ること。「今回だけ」が定期便になる。

「手伝いの依頼が正式業務に育った。」


【ありがた迷惑(ありがためいわく)】

善意なのに受け手には困ること。断ると悪者になる。

「助言十個で仕事が一つ増えた。」