原材料費や輸送費の高騰が続く現在、多くの小売・飲食・製造業では「どの商品を、いつ、どこまで値上げすべきか」という難しい判断を迫られています。
企業努力にも限度がありますから、値上げは利益を守るために不可欠な手段。
但しやみくもな価格改定は売上減や顧客離反を招くリスクもあります。
そこで本記事では、AI(ChatGPTなど)に仕入価格の変動履歴と利益率データを読み込ませ、「値上げすべき商品の優先順位」をロジカルに一覧化させるプロンプトをご紹介しましょう。
さらに、個別商品ごとの価格改定判断ガイドや、競合比較、代替案、社内説明用コメントまで一括で自動生成できる実用的なプロンプト構造を解説します。
これらのプロンプトが、あなたの店舗経営改善に少しでも寄与できれば幸いです。
ステップ1:単品の価格改定判断ガイド生成プロンプト(復習)
あなたは中小企業の価格戦略に精通したアナリストです。以下の商品の仕入れ価格変動履歴と現行価格、粗利率データをもとに、次の3点を提示してください。
1. 仕入価格の上昇傾向と変動率
2. 粗利率維持に必要な販売価格
3. 値上げの要否と根拠(競合価格、タイミング、代替策)
【商品例】
- 商品名:ブレンドコーヒー豆(1kg)
- 仕入価格:1,800円 → 2,420円(過去2年)
- 現行販売価格:3,100円(税込)
- 粗利率(現行):22%
- 競合価格:3,280〜3,400円
ステップ2:複数商品の価格改定優先度一覧プロンプト
あなたは価格戦略コンサルタントです。以下に示す複数商品の仕入れ価格変動データと粗利率情報をもとに、「価格改定の優先度」を一覧表で整理してください。
各商品について、次の5項目を出力してください:
1. 商品名
2. 仕入価格の変動率(前年比/2年比)
3. 現在の粗利率
4. 値上げ必要度(高/中/低)
5. 値上げ推奨理由(簡潔に)
【商品データ】
| 商品名 | 仕入価格(1年前→現在) | 現販売価格 | 粗利率 | 備考 |
|----------------------|-------------------------|--------------|--------|----------------------------------|
| オリジナルドリップ珈琲 | 130円 → 168円(+29.2%) | 210円 | 20% | 原料輸入価格が高騰中 |
| 紅茶ティーバッグ(10袋)| 150円 → 150円(変動なし)| 220円 | 32% | 大手と価格競争中 |
| 抹茶ラテパウダー | 320円 → 410円(+28.1%) | 480円 | 14% | 在庫回転率高/販売好調 |
| 焼き菓子(ギフト缶) | 720円 → 800円(+11.1%) | 1,200円 | 33% | 高価格帯のため値上げに慎重が必要 |
ChatGPT出力例(抜粋)
商品名 | 仕入変動率 | 現粗利率 | 値上げ必要度 | 推奨理由 |
---|---|---|---|---|
オリジナルドリップ珈琲 | +29.2% | 20% | 高 | 原価上昇幅大・粗利率低下・競合より割安価格のため |
紅茶ティーバッグ | ±0% | 32% | 低 | 原価据え置きで粗利も高水準 |
抹茶ラテパウダー | +28.1% | 14% | 高 | 人気商品で値上げによる反発が少ないと予測 |
焼き菓子ギフト缶 | +11.1% | 33% | 中 | 粗利は高いが高価格帯のため慎重な調整が必要 |
AIごとの比較:ChatGPT/Claude/Gemini
AI名 | 出力の特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|
ChatGPT | 判断基準の明確化が得意。表形式+ロジック整理のバランスが良い | 会議用資料/価格改定一覧表/優先順位マトリクス |
Claude | 文章のトーンが柔らかく、「お客様にどう伝えるか」も含めて出力 | 告知文案/値上げのお知らせPOP/代替提案コメント |
Gemini | 数値の変化を視覚的・階層的に捉える出力に強く、施策シナリオ作成向き | 売上シミュレーション/価格別利益表/複数条件比較レポート |
応用例の提案
- 値上げ会議用の「優先順位付き価格改定リスト」の作成
- 社内決裁用「改定理由一覧表」の自動生成
- 営業部門への「顧客説明トークスクリプト」の元資料に
- 販促部門用「価格据え置き商品の訴求ポイント整理」
- カテゴリ別にまとめた「価格改定進捗ダッシュボード」に活用
- 店舗別・業態別の価格戦略方針レポート生成にも応用可
まとめ
価格改定は、ビジネスの収益構造を守るうえで避けて通れない課題です。
ですが、全商品を一律で値上げするのは非効率でリスクが高く、「何から」「どの程度」「どう説明するか」を戦略的に整理することが求められます。
今回ご紹介したプロンプトを活用すれば、ChatGPTなどのAIが仕入れ履歴・粗利データ・市場情報をもとに、価格改定の優先順位を数値で整理・提案してくれるでしょう。
これを使えば、定性的な判断にとどまらず、構造的な価格戦略を描きたいときの強力なツールになります。
ひとまず、手元の仕入データを整え、一覧表にしてAIに読み込ませてみてください。
そこから始まるのが、“納得して実行できる価格改定”です。
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