AIで運行要約&シフト最適化するテンプレート&プロンプト活用法

物流・旅客・送迎業界では、ドライバーの長時間拘束・偏ったシフト配分・無駄な待機が慢性的な課題となっているといわれています。

多くの現場ではExcelなどで運行日報が記録されていますが、蓄積するだけで活用されていないという声が少なくありません。

そこで本記事では、運行日報(Excel)をAIに渡すための整形テンプレート。

さらにそれを基にChatGPTがドライバーのシフト効率化案を自動提案するプロンプトをセットでご紹介します。

AIを「日報の読解者」として使うことで、現場のムダを可視化し、再配車・労務改善の打ち手を即時に見つけることが可能になります。

ステップ1:AIに渡すための「Excel日報整形テンプレート」

運行日報をAIに理解させるには、**「誰が・いつ・どこに・どれだけ・何をしたか」をわかりやすく整理する必要があります。以下は、そのための推奨フォーマット(CSV可)**です。

ドライバー名 出庫時刻 帰庫時刻 立ち寄り①(場所・時刻) 立ち寄り②(場所・時刻) 待機時間 走行距離(km) 休憩時間
A 6:30 11:00 配送先①(8:00) 配送先②(9:30) 30分 58 0分
B 7:00 12:30 集荷①(9:00) 集荷②(10:15) 0分 74 15分
C 8:00 13:00 配送①(9:00) 配送②(11:15) 60分 65 0分

このフォーマットをCSV形式で保存し、以下のプロンプトに添付・読み込ませることで、自動要約+改善案出力が可能になります。


ステップ2:ChatGPTに入力するプロンプト(テンプレ付)

あなたは運行管理の専門家です。以下のCSV形式で整理されたドライバー運行日報を読み取り、次の5点を出力してください:

1. 運行要約(ドライバーごとの拘束時間、休憩・待機バランス、走行距離)  
2. 非効率ポイントの抽出(待機時間の集中、無休勤務、ルート重複など)  
3. ドライバーごとの改善ポイントと簡易提案(休憩の分散、ルート再設計など)  
4. 配車変更・シフト再編案(役割の再配置、分担)  
5. 効果予測(拘束時間削減・業務平準化など)

【添付CSVの内容】(前述テンプレに準ずる)

ChatGPTによる出力例


1. 運行要約

  • A:実働4.5h/待機30分/休憩0分
  • B:実働5.5h/待機0分/休憩15分
  • C:実働5h/待機60分/休憩0分

2. 非効率分析

  • Cは60分の待機+無休で拘束負荷が高い
  • AとBの立ち寄り先が近く、時間帯が重複しており再編可能
  • 休憩時間が計画的に確保されていない

3. 個別改善提案

  • A:休憩0分 → 午前後半に10分休憩を追加
  • B:休憩適正、だが距離ロス多くルート改善余地あり
  • C:待機時間帯を休憩として計上 → 稼働率表上も調整

4. シフト再編案

  • AにBの集荷②を委譲、BはCの配送②を引き受ける
  • Cは午前の1件のみ対応、12:00退勤とする柔軟シフト化

5. 想定効果

  • 拘束時間:全員平均−30分
  • 無休勤務ゼロ達成
  • 待機時間合計:90分 → 30分へ
  • 業務のばらつき(最長・最短拘束差):2h → 50分に縮小

AI別出力傾向比較(ChatGPT/Claude/Gemini)

AI名 出力の特徴 向いている用途
ChatGPT 要約→指摘→提案の流れが明確。配車改善の初稿資料に最適 管理者報告書/業務改善案/点呼資料の事前共有
Claude 文面が柔らかく、人間味ある表現。ドライバー向け通知文や共有用に強い 朝礼コメント/スタッフ通達/育成目的の対話型評価レポート
Gemini 表や数値の出力整形が得意。ダッシュボード系資料と相性良し 勤務時間表/稼働率レポート/評価軸ごとのスコアリング資料作成

応用例の提案

  1. 月次での稼働率・拘束時間レポート作成へ応用
  2. ドライバー別の「稼働プロファイル」作成用AI評価軸に
  3. 配車会議の資料作成をAIで自動化(要約→PDF出力)
  4. 36協定違反リスクの検出ルールに接続してアラート設計
  5. 新人配車担当のOJT資料として「改善パターン集」化
  6. 営業倉庫・中継地の“時間帯別混雑予測”にも連動可能

まとめ

運行日報は単なる記録ではなく、いわば“改善の設計図”。

ChatGPTのようなAIを使えば、これまで見逃されていた時間のムダ・負荷の偏りが明確になり、配車やシフトに根拠ある見直しが可能になります。

今回ご紹介したテンプレートとプロンプトを活用すれば、Excelで整理した日報をそのままAIに読み込ませ、業務要約→改善提案→効果測定まで一括で自動生成できます。

まずは試しに1日分から始めてみてください。

その先には、現場に無理なく導入できる働き方改革の姿が見えてくるはずですよ。

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