宿泊業において、価格設定は収益と稼働を左右する最重要施策です。
しかし、ExcelやGoogleスプレッドシートで手作業更新していると、「タイミングが遅れる」「根拠が曖昧」「データが属人化する」といった課題が発生しがちです。
そこで本記事では、GoogleスプレッドシートとAI(ChatGPTなど)を連携し、価格データをもとに稼働率に応じた料金案を自動更新・提案するプロンプトをご紹介します。
単なる分析に留まらず、そのまま現場で使える「価格戦略シートの原稿」が自動で完成する実践型の内容ですので、ぜひお試しください。
ステップ1:スプレッドシート構成(入力データ例)
AIに読み取らせる前提で、以下のような形式で価格データを管理します。
日付 | 曜日 | 稼働率 | 現在価格 | 競合A価格 | 地域イベント | コメント |
---|---|---|---|---|---|---|
2024/06/01 | 土 | 95% | ¥12,000 | ¥13,500 | ― | 通常土曜 |
2024/06/04 | 火 | 48% | ¥8,800 | ¥9,800 | ― | 平日空室多い |
2024/06/08 | 土 | 98% | ¥12,000 | ¥14,000 | ○○マルシェ開催 | 早期完売 |
2024/06/11 | 火 | 55% | ¥8,800 | ¥9,000 | ― |
この表をGoogleスプレッドシートで用意し、CSV形式でエクスポートまたはAPI連携し、以下のプロンプトでAIに読み込ませます。
ステップ2:ChatGPTプロンプト(価格戦略自動更新)
あなたは宿泊業に特化した価格設計のプロフェッショナルです。以下の宿泊稼働率データと現在価格、競合価格をもとに、日付ごとの最適販売価格を提案してください。
【出力内容】
1. 稼働率に応じた価格提案(各日付ごと)
2. 競合比較を踏まえた価格調整理由
3. 特定日(イベント日)のプレミアム料金設定案
4. 最終的な価格戦略シート(AI出力版)として再構成(同形式)
【CSVデータ(例)】
※スプレッドシートで出力された内容をそのまま読み込み
ChatGPT出力例(要約)
価格提案(自動補正)
日付 | 曜日 | 稼働率 | 現行価格 | 推奨価格 | 補足コメント |
---|---|---|---|---|---|
6/01(土) | 土 | 95% | ¥12,000 | ¥12,500 | 稼働高+競合価格との価格差を縮小して利益最大化 |
6/04(火) | 火 | 48% | ¥8,800 | ¥7,600 | 平日稼働低迷。1,200円値下げで稼働率+15%見込 |
6/08(土) | 土 | 98% | ¥12,000 | ¥13,800 | 地域イベント需要あり。プレミアム価格設定推奨 |
6/11(火) | 火 | 55% | ¥8,800 | ¥8,000 | 若干の調整で集客性UP。競合より安く見せる意図 |
出力:AI提案版価格戦略シート(再構成)
日付 | 曜日 | 推奨価格 | 理由(要約) |
---|---|---|---|
6/01(土) | 土 | ¥12,500 | 高稼働+競合より安いため価格引上げ可 |
6/04(火) | 火 | ¥7,600 | 稼働率低。割引で集客を図る |
6/08(土) | 土 | ¥13,800 | 地域イベントにより高価格でも成立見込み |
6/11(火) | 火 | ¥8,000 | 稼働回復のため微調整 |
AIごとの比較:ChatGPT/Claude/Gemini
AI名 | 出力の特徴 | 向いている活用シーン |
---|---|---|
ChatGPT | 価格変更の根拠・効果を一貫して出力。スプレッドシート再構成にも対応可能 | 日次/週次価格会議用資料/OTA連携シート出力/経営報告用スライド |
Claude | 言い回しが丁寧で、スタッフ共有・現場説明文に適している | フロント向け共有メモ/価格告知文案/お客様説明補助資料 |
Gemini | 時系列変化やグラフ出力に優れ、履歴比較やトレンド視覚化に向く | 月次推移レポート/KPIダッシュボード/競合価格トラッキング分析 |
応用例の提案
- Googleフォーム入力→スプレッド自動反映→AI価格提案を自動化
- 競合施設の料金をクローリング→価格表に自動連携し、AIへ渡す
- イベント一覧シートと連動し、対象日に“自動価格増額フラグ”を設計
- AI出力をそのままOTA(楽天/じゃらん)用アップロード表に変換
- 月次の“価格反映→稼働率推移”をAIが可視化し施策精度向上
- “料金変更後の売上影響予測”を別シートで算出→予算管理にも活用
まとめ
価格は、“なんとなく”で決める時代から“根拠をもとに変える”時代へ。
本記事で紹介したように、GoogleスプレッドシートとAIを連携すれば、リアルタイムの稼働率や競合価格に応じた価格最適化案が、シート形式で即出力可能になります。
ChatGPTは、単なるアドバイザーにとどまらず、実務用の“価格戦略シート作成ツール”としても活用可能です。
まずは1週間分の価格と稼働率をスプレッドシートで整理し、AIに提案させてみてください。
現場で動ける、“説得力ある価格設計”がすぐに始められるはずですよ。
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