空き店舗データから商店街を再生する!AIによる収益改善アイデア提案プロンプト

【今回は非常にマニアックなプロンプトです】

地方や都市近郊を問わず、多くの商店街が抱える問題——それが空き店舗の増加です。

なぜなら放置された空き物件は、景観を損ね集客力を低下させ、周辺の店舗や住民の活気にも影響を与えますからね。

こうした課題に対し、感覚や経験だけに頼るのではなく、現在はデータを活用し、AIの力で再生プランを設計する方法が注目されています。

そこで本記事では、私が実際にChatGPTを活用して、商店街の空き店舗データを分析し、地域性に合った収益改善アイデアを提案させたプロンプトをご紹介。

これは神奈川県大和市の、商工会議所関連で披露した情報ですが、その他地域のまちづくり協議会、自治体職員、地域事業者の皆様におすすめの内容ですよ。


提案プロンプト(ChatGPT向け)

以下のように入力することで、商店街の空き店舗データをもとにAIがアイデアを提案してくれます。

あなたは地方商店街の再生を専門とする経営コンサルタントです。以下に示す商店街の空き店舗データ・立地情報・周辺環境を分析し、空き物件を活用した収益改善のための具体的な活用アイデアを3〜5案提案してください。アイデアは現実的かつ地域住民や観光客のニーズに合った内容とし、収益面・地域貢献面の両視点から記述してください。

【商店街情報】
- 地域:神奈川県〇〇市  
- 商店街の特徴:かつては地元客向けの食品・日用品中心。現在は人通りが減少し、高齢化が進む。最寄り駅から徒歩10分圏内。  
- 空き店舗数:8件  
- 空き店舗の特徴:延床面積20〜40㎡、築30年以上、シャッター商店街化が進行中。  
- 周辺施設:小学校、公民館、古くからの住宅街、週末の青空市あり。

出力形式:  
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【活用アイデア1】  
- 概要:〇〇  
- 収益モデル:〇〇  
- 地域貢献の視点:〇〇  

…以下、アイデア2〜5も同様に。

AI出力例(サンプル)

実際に上記のようなプロンプトをChatGPTに入力すると、以下のような具体的なアイデアが得られます。


【活用アイデア1】

  • 概要:地域高齢者向けの「見守り型シェアキッチン」
  • 収益モデル:利用料(月額/時間貸し)+地域産野菜などの物販併設
  • 地域貢献の視点:高齢者の孤食対策・交流の場の創出・地域コミュニティの維持強化

【活用アイデア2】

  • 概要:親子向け「多世代型プレイ&カフェスペース」
  • 収益モデル:カフェ売上+子ども向けワークショップ収益
  • 地域貢献の視点:地域の子育て世帯支援と空き家活用の両立

【活用アイデア3】

  • 概要:地元クリエイターのための「週末限定レンタル店舗」
  • 収益モデル:1日単位のスペース貸し+マルシェ連携によるイベント収益
  • 地域貢献の視点:若手の事業支援・商店街への新しい流れの創出

商店街マップと空き店舗データをCSVで整理し、AIに渡す方法

空き店舗分析を効率的に行うには、店舗情報をCSV(表形式)で整備し、ChatGPTに「構造化されたデータ」として提示することが有効です。以下はその手順です。

【ステップ1】CSV項目の設計

店舗ID 住所 延床面積 築年数 最寄施設 周辺の人の流れ 以前の業種 現在の状態
001 埼玉県〇〇市〇〇 30㎡ 築35年 小学校より徒歩3分 平日:まばら/週末:人通りあり 酒屋 空き・シャッター閉鎖

※エクセルやGoogleスプレッドシートで作成可能。


【ステップ2】ChatGPTへの入力フォーマット

CSVデータをテキストに変換して、以下のようにプロンプトで渡します:

以下はある商店街の空き店舗データです。これをもとに、収益改善に役立つ活用提案を3案お願いします。収益性と地域貢献の両視点からご提案ください。

【空き店舗一覧】
1. 住所:埼玉県〇〇市〇〇/延床面積:30㎡/築年数:35年/最寄:小学校/人通り:週末多い/以前:酒屋/現在:シャッター閉鎖  
2. …(以下略)

【ステップ3】出力結果の活用法

  • 会議資料のたたき台に
  • 商工会の提案書に
  • 所有者への提案文案に
  • SNS投稿やポスター原案にも展開可能

プロンプトの構造解説

このプロンプトは、以下のように構成されています。

  1. AIに役割を明示:「地方商店街再生の専門家」と指定することで、地域特性や制約を考慮した現実的な視点を引き出します。
  2. データを具体的に提供:商店街の場所・規模・周辺環境を詳細に記述することで、空間や対象ニーズをAIが正確に把握できます。
  3. 出力形式を明確に指示:収益と地域貢献の両面から提案させることで、実行可能な多面的アイデアを得られます。

応用例の提案

  1. 自治体の空き家バンク活用提案にも応用可能
  2. イベント出店者の募集文書生成
  3. 商店街再生ワークショップ用のたたき台作成
  4. 空き物件所有者への提案書の作成支援
  5. 若手事業者向け出店モデルの作成
  6. 補助金・助成金申請時の企画書下書き

まとめ

商店街の空き店舗は、“負債”ではなくひとことで言えば“可能性”です。

しかし、その可能性を引き出すには、地元の資源・ニーズ・構造的課題を理解した上での柔軟な企画力が必須。

今回ご紹介したプロンプトとCSV整理法を組み合わせれば、ChatGPTが与えられた情報をもとに、収益性と地域性のバランスが取れた活用アイデアを複数パターン生成してくれるため、現地調査の段階や構想初期でも方向性を掴みやすくなります。

さらに、AIの提案は「1つに絞る」のではなく、「複数案から選ぶ」スタイルに適しており、地域の関係者との合意形成や説明資料作成にも役立つでしょう。

すでに地方自治体や商工会議所でもAI活用が進みつつある今、空き店舗問題の解決にも、プロンプト活用は有効なアプローチとなるはず。

まずは1つの商店街エリアから試し、AIの提案力を現場の知見と組み合わせて、新しい商店街再生の第一歩を踏み出してみてください。

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