土産品の開発やリニューアルを行う際、「誰にとって魅力があるのか?」を見極めることは極めて重要な事項といえます。
とくに観光客と地元住民では、地域の商品や風景に対する感覚や価値観が異なりますので、意見がまとまりにくいもの。
しかし最近ではX(旧Twitter)やInstagramといったSNSに、その土地の感想や写真が大量に投稿されており、これらは生の“声”を反映した貴重なデータ資源です。
ただ、人力で投稿を集め、読み解き、比較分析するのは非効率。
そこで本記事では、SNS投稿を抽出・整形し、AI(ChatGPTなど)に入力して「観光客と地元客の違い」から土産品開発のヒントを得るプロンプトと運用手順を詳しくご紹介します。
ステップ1:SNS投稿の収集(X・Instagram編)
◆ X(旧Twitter)の場合
- 検索キーワードを工夫:「〇〇市 おいしい」「〇〇 観光」「〇〇 土産」など
- 投稿者プロフィールをチェックし、**旅行者らしい語り口(例:初めて来た!/映える)**か、**地元民らしい語り口(例:昔から変わらん/駅前の〇〇が好き)**かを分類
例:投稿抜粋(観光客)
「〇〇の抹茶アイス、インスタ映えもするし味も最高だった」
「初めての〇〇旅行!駅で買ったレトロなお菓子がツボ」
例:投稿抜粋(地元客)
「あそこのパン屋、10年ぶりでも変わらぬ味で安心した」
「小腹空いたら駅前のコロッケ屋は鉄板」
◆ Instagramの場合
- ハッシュタグ検索:「#〇〇グルメ」「#〇〇スイーツ」「#〇〇土産」など
- 投稿文から感想を抽出(「おいしかった!」「懐かしい」など)+ビジュアル要素のメモ(かわいい/レトロ/シンプルなど)
ステップ2:CSVテンプレートでデータ整形
収集した投稿を以下の形式で表にまとめます(CSV/スプレッドシート推奨)。
投稿者タイプ | 投稿内容 | 商品名・店舗 | 感情・表現キーワード | 注目要素(味・見た目・思い出) |
---|---|---|---|---|
観光客 | 〇〇のソフトクリームが映えて最高 | 〇〇ソフト | 映える/テンション上がる | 見た目、非日常体験 |
地元客 | 〇〇の和菓子は子どもの頃から好き | 和菓子屋〇〇 | 落ち着く/懐かしい | 味、日常性 |
ステップ3:ChatGPTプロンプトで分析・発想へ
あなたは観光マーケティングの専門家です。以下に、観光客と地元客のSNS投稿から抽出した表を示します。それぞれの傾向の違いを分析し、両方の視点を活かした土産品開発アイデアを3つ提案してください。提案ごとに以下を含めてください:
・商品名
・コンセプト(観光客/地元客にとっての魅力)
・想定ターゲット層
・価格帯
・購買動機(なぜ手に取るか)
ChatGPT出力例(分析+商品提案)
【分析結果】
- 観光客:見た目、SNS映え、非日常体験を重視。「初めて」や「かわいい」が頻出
- 地元客:味・安心感・昔から変わらないことを評価。「落ち着く」「懐かしい」がキーワード
- 共通点:素材の信頼性、小分けで買いやすい手軽さ
【提案1】
- 商品名:もちもちレトロサンド
- コンセプト:地元の老舗もち菓子をサンドクッキー風に。レトロ映え×味の安心感
- ターゲット:20〜40代観光客+地元のファミリー層
- 価格帯:600円(3個入り)
- 購買動機:「かわいいのに本格派」「地元の味を都会風にリデザイン」
【提案2】
- 商品名:駅前しょうゆラスク
- コンセプト:昔ながらのしょうゆ味+食感がクセになる、甘くない土産
- ターゲット:男性観光客/地元の中高年
- 価格帯:400円〜500円
- 購買動機:「甘くない土産って意外と少ない」「小腹満たしにちょうどいい」
AIごとの傾向比較:ChatGPT/Claude/Gemini
AI | 出力傾向 | 向いている作業 |
---|---|---|
ChatGPT | 文章構成・論理バランス◎。感情と機能の両面をカバー | 商品企画/プレゼン提案書/POP文作成 |
Claude | 表現が情緒的・人間味あり。感性やストーリー性が高め | ブランドコンセプト設計/コピー開発 |
Gemini | データ整理・傾向比較・カテゴリ分けに強い | SNS投稿の分類/属性別レポート整理 |
応用例(用途を倍に拡張)
- 観光客向け vs 地元向けPOP作成に活用
→ 1商品に対し2通りの伝え方を作成(「一目惚れ土産」「いつもの味」) - 自治体のふるさと納税返礼品開発にも応用
- 道の駅や空港売店の品揃え戦略に転用
- ターゲット別レコメンド用LINE配信文作成
- SNS投稿の変化を時期ごとに比較(季節性分析)
- データを地域間(A市 vs B市)で比較して優位性訴求に
まとめ
観光客と地元客、それぞれの視点には、土産品開発にとって非常に重要な「気づき」が詰まっています。
そこで、SNS投稿という身近で生の声をAIに読み取らせることで、“刺さる”新商品のヒントを効率よく発見できるようにしてみると良いでしょう。
特に、視覚と感情を伴ったSNSの投稿は、伝統と革新のバランスを見極める格好の材料ですからね。
今回紹介した投稿収集→整形→プロンプト活用の流れを実践すれば、企画段階の調査から実際のPOP文作成まで、AIを一貫して活用することができます。
まずは1つの地域、1ジャンルの商品で試してみてください。
そのデータの先に、地域の魅力を“買いたくなるカタチ”にする新しいヒントが見えてくるはずですよ。
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